セキセイインコさんが「通院用のキャリーになかなか入ってくれない(泣)」と
お困りの方、多いと思います。そんなあなたに、まずこの動画をご覧下さい。
これは通院用のキャリーケージです。しっかりキャリーケージの中に収まっているのがお判りいただけると思います。ちょっと出ようとしますが、またご飯の元に戻っていきます。
もちろん、最初からこのような行動だったわけではありません。皆さんと同じで、キャリーに入ってもらうためにとっても苦労した派です。
でも今では我が家のセキセイインコさんの頭の中には
“キャリー = 病院 = デメリットになる場所”ではなく
“キャリー = ご飯 = メリットになる場所” という方程式が出来上がっているのです。
では、どうやってデメリット を メリットに書き換えたか?
ポイントは3つ。順に説明してまいります。
Contents
ポイント1
セキセイインコさんのキャリーケージは、いつも出しておこう!
皆さんは、普段こんなことをしていませんか?キャリーケージを、通院の前日とか通院の当日、唐突に出していたりしませんか?
そういう私も以前は、どんなに長くても病院へ行く1週間前くらいにケージの横に出しておくぐらいでした。
でも、こうするとセキセイインコさんの頭の中に“あの経験”がよぎるんです。
(あ、これってもしかして、入っちゃったら知らない人のところに連れていかれるヤツだ。ガーーーーーン!ヤダ、ヤダ、ぜったーーーーいヤダ!)
ヒトの言葉にしたら、こんな感じでしょうか。
(キャリーケージに入っちゃったらすぐに出してもらえないし、なんだか、タオルで覆われちゃうし、しばらく、ゆらゆら揺れるし、明るくなったと思ったら、あんまり見たことない人がキャリーに手を突っ込んできて握られちゃうし。)
(握られたら、何だか体のあちこちを触られるし口の中に、なんか棒みたいの突っ込まれるし爪も切られるし)
(いいことなーーーーい!)
以上、我が家のセキセイインコさんの気持ちを代弁してみました。
これだけ、負の、デメリットの記憶が蓄積されると、突然出てくるアイツ(キャリーケージ)への心象が言い訳ありませんよね。むしろ恐怖かも。
それに、人もドキドキして、どこかぎこちなかったりしていませんか?
「入ってくれるかな?入らなかったら予約時間に間に合わない〜」
「やっぱり、手で捕まえてキャリーケージに入れなくちゃダメかな〜」なんて。
人間側のいつもと違う空気感をセキセイインコさんは感じ取っているはず。これでは、ますます悪循環。なので、キャリーケージは決して特定の日、のものではなく
いつでもそこにあるもの
として、セキセイインコさんも人間も日常の一部にするとために、まずキャリーケージをいつも出しておくのがポイントです。
ポイント2.
セキセイインコさんのキャリーケージの扉、普段はオープンに。
もう一つ大事なことは、普段、キャリーケージの扉は常にオープンにしておくこと。
入ったらすぐに扉が締められる場所
という刷り込みを書き換えるためです。
鳥さんにとってストレスの一つはケージを自由に出入りできないこと。
入っても出たいとアピールをすれば、その願いが叶えられる場所じゃないと、そこは、セキセイインコさんにとって安心スペースのはならないのです。
もちろん、出かけるときしっかリ扉を締めてくださいね。
その代わりキャリーケージの扉は、普段はオープン!にしておいてあげてください。
ポイント3.セキセイインコさんのキャリーケージで朝食を。
私(人間)が余裕のある休みの日だけキャリーケージ内にご飯を設置しました。
我が家は朝にシードを2g食べてもらうので、さらにその半分の1gをキャリーケージで食べてもらうようにしたのです。
もちろん最初から、すんなり入りませんでしたよ。
最初の頃はセキセイインコさんから疑惑の眼差しが向けられます。
(もしかして、またここに入ったら最期、あそこ(病院)行きじゃないよね?)
だから、本当に最初の最初の頃はキャリーケージ内にご飯があっても決して入らなかったです。なので、キャリーケージの外ですこーーーしだけ餌を食べてもらい
そこからすこーしずつ、キャリーのそばでご飯を食べてもらい
最終的にキャリーの中に餌入れを入れて、そしてセキセイインコさん自ら入る、というスタイルを繰り返しました。
なので、ケージの中に入ったとしても1口、2口、餌を食べると、すぐにキャリーケージの入り口に乗っかって扉を閉めるなアピールをします。
ですから人間もキャリーケージから離れて「(人間は)扉を閉めることができない場所にいますよ」とアピールをしました。
多分、人が側にいるとキャリーケージの扉を締められるというデメリットイメージを思い出させてしまうかと。
あとは、腹ペコの朝食のタイミングでトレーニングするのがいいと思います。
デメリットのイメージが湧くものの最後は食欲に負けてキャリーケージに渋々入る、というのも事実ですから。
「我が家はお昼」
「うちは夜かなぁ〜」という方は、もちろん効果の出やすい時間帯でチャレンジしてみてください。
こうして月に約8日、9月、10月そして、11月の初旬には最初にお見せした
キャリーケージで朝食を、の状態になりました。
実は11月にセキセイインコさんの健康診断に行ってきたのですが、問題なくキャリーケージにイン!
そして、もっとびっくりしたのが病院から帰宅して、キャリーから出て5分と経たないうちに、またキャリーに戻ってご飯をモリモリ食べていたんです。
「え?さっき、このキャリーで病院行ったのに怖くないんダァ〜」と人間がびっくりです。
行動学でセキセイインコさんもハッピーに
セキセイインコさん、鳥類は本当に頭がいいですよね。
我が家のセキセイインコさん、このキャリーケージ克服トレーニングに成功したのは、9歳と10ヶ月のことです。
シニアでも出来ちゃいます!年齢なんて関係ありません。人間がちゃんと不安を取り除いてあげれるように知識を持ってトレーニングをすればセキセイインコさんも嫌なことを克服して、さらにハッピーに暮らせるんです。
セキセイインコさんのQOLが向上するのです。そうしてあげることができるのは、生活のパートナーである我々人間の役割でもあると思います。
このトレーニング方法は、石綿美香先生のセミナーでヒントをいただきました。
2018年9月2日 とりきち横丁札幌店主催講師 石綿美香氏 による「鳥達のための社会化」〜いつでも どこでも だれとでもを目指して〜
このセミナーの質疑応答の中で先生がヒントを下さったこと元に実践しました。
奇しくも、この2日間後「北海道胆振東部地震」が起きます。私も愛鳥とともに約30時間の停電を体験することになります。
幸いにも電気だけが問題でしたので、避難所に行かなくてすみました。
でも、この地震がきっかけでキャリーケージのトレーニングを真剣に開始しました。なぜなら、“いつ愛鳥と被災するかもしれない”が“いつ被災してもおかしくない”に意識が変わったからです。
これからも行動学を通して鳥さんにとっての“怖くない”がたくさん増えて、
いつ、どんな状況下でも、落ち着いていられる子になってほしいなって思っているんです。
今回ご紹介したのはキャリーケージのことでしたが鳥さんがデメリットと思っていることをメリットに変えられるのが行動学のおもしろさであり素晴らしさ。
キャリーケージにスムーズに入る、入ってもらう
という成功をセキセイインコさんにも、そしてパートナーである人間にも体験していただけたら、と思います。
成功体験でますますお互いの関係性が良くなり、さらにお互いの絆が深くなるように、この記事がお役に立てると嬉しいです。トレーニングの際は、セキセイインコさんを焦らせないでくださいね。
集中力が切れたかな、と思ったら無理にやらないことも大切だと思います。愛鳥さんのペースに合わせてパートナーである人間も余裕を持って取り組むのが成功近道です。